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慶次郎はなんの事だかさっぱり分からず、トオルの頭を優しく撫でた。
「何があったか分からんがトオルは最低な奴だなんて俺も律くんも思ってないぞ?もちろん、律もな」
「でも、俺…」
慶次郎の言葉に何か反論しようとしたトオルだが、口に指を当てられて遮られた。
「でも、は無しだ。お前は今いろんな事があって混乱してるんだ。少し考えるのをやめろ」
そういってフェンスに近寄り腰を下ろすと隣をポンポンと叩く。
ここに座れと言っているようだ。
トオルは渋々、慶次郎の隣に腰を下ろすとフェンスにもたれ掛かった。すると数分しない内に静かな寝息が聞こえる。
「ハハ、寝るの早!…で、いつまでそこに立ってるつもりだ、律くん?」
「……」
寝てしまったトオルを起こさないよう立ち上がれば屋上の出入り口に向かい、死角に隠れていた相手に話しかけた。
「あんまり泣かせんなよ?」
そういっておりる階段を下っていけば背中越しに手をヒラヒラと降る。
「邪魔者は退散するぜー、あと任せた。上手くやれよ?」
「…大きなお世話だ」
そんなやり取りがあったとは露も知らずスヤスヤと眠るトオル。
この物語はまだ終わらない。
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