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んー。
漆原慶次郎は悩んでいた。
「あれ?けーじろ、まだ始めてなかったの?」
遠くから紫杞がやってくる。
それを眺めながら気だるそうに答える。
「落ち葉担当が戻ってこないんだよ。あのチビ助はどこほっつき歩いてんだか」
なるほど、と納得した紫杞は慶次郎の隣に座る。
秋になり空が高い。ぼーっと2人して落ち葉担当のトオルが戻ってくるのを待つ。
「外、寒いねぇ」
「ああ」
「トオル遅いね?」
「ああ」
「探しに行く?」
「そーすっかぁ」
そう言って慶次郎は足り上がると背伸びをする。
***
「あ゙ー…」
校舎裏に一人。
トオルは壁に背中を預け、凭れかかるようにすれば自分のしたことを思い返し自己嫌悪する。
「俺バカだ、なんであんなこと言ったんだろう…」
どうしようもなく情けない気持ちになると視界が滲みぼやけてくる。
濃い灰色の目をした瞳は涙でいっぱいになった。
「お腹でも痛いの?」
不意に頭上から声が聞こえる。
顔を上げるとソコに居たのは紫杞だった。
「…紫杞」
紫杞の顔を見た途端に我慢していた涙が溢れ出す。人目も気にせずトオルは声を上げて泣き出した。
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