黄瀬斗織という人物についての考察

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『俺の知らないキミ』 これは俺がまだ律と友達だった頃、黒くんと出会う前のお話。 *** 「…暇だなぁ、律でもからかいに行こうかな?」 ポツリとトオルは一人ぼやく。 *** 「あれ、律。一人で何してんの?」 教室に入ってきた慶次郎は一人、黙々と読書をしている律の姿を見つけると声を掛ける。 「…見て分からない?読書だけど?」 その対応に慶次郎は裏の人格、黒なのだと気が付き苦笑する。 「お前も相変わらずだなぁ~。折角だし外で遊ぼうぜ?」 そう言って後ろ手に持っていたバスケットボールを律に見せるとニカッと笑う。その笑顔を見た律は少し溜息を吐き出してから嫌そうに答える。 「嫌だよ。汗かくし疲れるし…やるなら1人でしろよ」 「え~、律くんのいけず~…ん?」 そんな押し問答をしていれば教室のドア側からガタッと音が鳴る。そこに居たのはトオルだった。 「…り、律?」 いつもと少し雰囲気の違う律に違和感を感じたのか不安そうな表情を浮かべている。 「あれ?トオルじゃん…そんなところでどうした?」 トオルの姿を見た律はパッと表情を変え黒から律へと変わる。 「…いや、ちょっと律が別人に見えて、気のせいだよね?」 「えー?オレはオレだよ?」 いつもの優しい笑みを浮かべると読んでいた本を閉じる。 その笑みを見たトオルは安心したように小さなため息を吐き出す。 「だよね!暇だし遊ぼーぜ!」 「あ、じゃあバスケしよーよ!慶次郎もするだろ?」 「あ、ああ…もちろん(トオルってもしかして裏律くんのこと知らない…?)」 二人のやり取りを見ていた慶次郎は驚いたようにトオルと律を見比べる。 俺が黒くんを知るのはもう少しあとだった。 →
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