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『あなたのおなまえはなんですか?』
ちょっとした小話。
***
「…あ、律だ。おーい、律!」
廊下の先に律の姿を見つける。
「あぁ?…なんだトオルか」
「げ、裏律」
トオルは律が今、裏人格だと分かり後ずさる。
「げってなんだよ、俺じゃ駄目なのか?あ?」
「べ、別にそんなんじゃないけど…裏律のこと、まだ良く分かんないし」
だって…と言い訳をもごもご言えば律は溜息を吐き出す。
「その裏律っての辞めてくんない?俺だって律なんだけど?」
「あ、ごめん…じゃなんて呼べばいいの?」
それもそうだと妙に納得すれば頷く。
「普通に律でいいよ」
「え、それじゃあ、律と変わんないじゃん」
「ちっ…めんどくせぇな」
何かいい代案はないかとない頭を捻る。
「じゃあ、律さんとかは?」
「却下、何かヤダ」
「えー…じゃあ、セカンド律!」
「舐めてんのか、お前?」
もう、文句ばっかだなぁ…
「う~ん…じゃあ、黒くんってのは?」
「なんでだよ?」
「苗字、黒嶺だから黒くん…これならいいでしょ?」
「…ふん、勝手にしろ」
どうやら好評なようで。
彼のことはこれから黒くんと呼ぶこととなった。
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