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『お花見、イメチェン、時々女装』
お花見は女装するのがこの学園の掟なんだぜ?(※嘘です)
***
「おー!紫杞も女装したのか、やっぱ似合うねぇ」
花見の会場に着けば見知った相手を見つける。
それは女装した紫杞と慶次郎だった。
「うん、折角だからねぇ」
まぁ、毎年やってることだし慣れたことと笑い合う。
「そう言えば花見に来てから律を見てないんだけど来てる?」
今だ見ぬ律に疑問を持ち首を傾げる。
春休みに入ってからまだ一度も会っていない。
「え?さっきからけーじろの後ろに居るよ」
そう言って紫杞は慶次郎を指さす。
「…っ!?」
「ほら、来たぜ?お披露目しなくていいのか?」
「…は、恥ずかしいよぉ」
慶次郎が一歩横にズレたので隠れていた律の姿が露わになる。律は少し恥ずかしそうに俯きながらモジモジしている。
「…え、律?」
「な、なに?」
その姿を見たトオルはポカンと口を開けて呆然とする。
「…か、かっこいい」
「へ?」
「は?」
「もしかしてイメチェンした律くん見るの初めて?」
律、慶次郎、紫杞の順に反応する。
というものの律の緑色だった髪は黒く染まり、少し背が高くなったように感じた。
「律、いつの間にお前黒髪になったんだよ!一瞬誰だか分かんなかったよ」
「(女装に気付いてない?)…そ、そうかな?ありがとう」
ふと視線を下に向けるとようやく律が女装していることに気が付いたトオルは無言でスカートを捲る。
「ぎゃぁああああ!!と、トオル!!?」
「あはははは!律のパンチラGET!」
不意なことで慌てふためく律とそれを満面の笑みで笑うトオル。
慶次郎はやれやれといった面持ちで溜息を吐き出す。
「おいおい、程々にしないと嫌われるぞ?」
「やっぱりトオルはトオルだねぇ」
馬鹿やって笑い合えるってことがこの時はなによりも大切だった。
このままでいい、このままがいいってそう思ってたんだ。
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