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「だけどね――」  おばあちゃんは、さっきまで伏せていた目をぐっと上げた。真っ直ぐに見据える両目には、鮮やかな色が灯っていた。 「だけどね、私は、嬉しかったんだぁ」  その瞬間に、おばあちゃんは、本当に、良い笑顔になった。  ただでさえ皺くちゃの顔が、更に皺だらけになっているのに、さっきよりも何百倍も可愛いなと、私は思った。 「例えどんな理由であっても、誰かに、他人に、必要とされるのは、本当に嬉しいもんなんだよ」  私達二人の間に、緩やかな時が流れる。  普段過ごしている世界とはかけ離れた、穏やかな空気が一帯を包み込んでいる。  私はただそれを、心地よく受け入れていた。
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