不協和音

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陰口を叩くサラに幻滅はしたが、 いちいちユウナを庇うほど俺も人に興味がなかった。龍馬がユウナを相手しないのは、意外だったけど。ユウナは中身は知らないけど外見だけみればかなりいいオンナ。アイドルみたいな派手な顔つきのサラとは違い、いつもすましたような顔して、立っているだけで色気があるオンナだった。 ふうん。龍馬メンクイなんだな。 そんな所で思考は落ち着いた。 そんないつかの話を思い出しながら、翔や拓也の話に耳を傾ける。 「そういえば、ユウナとサラ喧嘩してるらしいぜ?サラがユウナに何か言って泣いてたらしい。殴ったらしいぜ。ミナトの事で。」 俺の名前が出てきた事に素直に驚く。 「サラはともかくユウナはねぇよ。」 サラの事は好きでもなんでもないけど、殴ったりはしない。それにユウナは俺じゃなくて龍馬が好きなんだから殴るわけねぇ。 何も考えずに驚きからつい口を滑らせる。 「え?お前なんで?俺も聞いただけだからしらねぇけど、お前知ってんの?」 翔たちが騒ぎはじめる。 「しらねぇよ。サラ俺のこと好きそうだろ?この前お菓子もらったから!俺もユウナは喋った事もねぇよ。」 「わけわかんねぇよお前。お菓子って爆笑。」 めんどくせぇからしらを切り、適当なことを言う。 お菓子もらったぐれぇで好きとかわけのわからねぇ言い訳に自分でも笑いそうになる。 笑いに変えて話を流そうとすれば、珍しく龍馬が笑いながら俺を見ていた。 「確かにないんじゃね?その話。ユウナ俺の事が好きだから。お菓子もらったし俺。」 龍馬はそう言いながら俺を見ていた。 その目に全て見透かされているようで、それでもって俺をからかうような、事実を孕ませた軽口になんとなくイライラする。 「俺ももらいてぇよ。お菓子。」 拓也の一言で全員で笑う。 飯の時間になりそれぞれ教室に向かう。
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