6人が本棚に入れています
本棚に追加
必然的に俺と龍馬は同じ道を歩く。
先ほどまでの和やかな空気とは変わり無言で歩く。
階段を登りきると教室からは死角となっている掲示板の前で龍馬が足を止める。
不思議と俺もつられて歩みをとめる。
「知ってたんだな。ユウナの事」
ふいに投げられた言葉に一瞬わけがわからず、遅れて意味を理解する。サラの話か。
「あー。サラから聞いた。俺らさたまに会ってて、あいつがたまにユウナの話すんだよ。詳しい事はしらねぇよ」
普段よりもお互いに踏み込んだ話に、人との距離を取っているような龍馬から、その話をしてくるとは思わず、俺も隠さずに答える。
ふうん。と目を細め俺を見る龍馬。
俺は悪い事してるわけじゃないのに、こいつに、みられると居心地が悪くて仕方ない。確かに自分の事を、他人が語るのは気分がいいものじゃないかもしれない。そこを突っ込まれると思い、俺は正直に明かしたつもりだったのに。
「ミナト、サラと付き合ってんの?」
俺の予想とは違う言葉に少し拍子抜けした。
絶対わかって言ってるよなこいつ。
「寝てるだけ。」
言葉にすれば男として軽いようで、実際軽い俺は
身も蓋もない言い方だけど他に言いようがない。
「俺も」
俺も?ユウナは相手にしてねぇんじゃ…
サラは馬鹿に相手にされてない。なんて言っていたけど付き合ってないだけでやることやってんだな。
「へえ。奇遇だな。また4人で遊ぼうな」
終着点も特になさそうな会話に、
腹も減った俺は適当にオチをつける。
本来ならここで終わるはずの会話。
「勘違いしてない?俺がヤったのサラ。一週間前ぐらいだったかな?さっきの話だけど、サラとユウナが喧嘩したのはマジ。俺がサラとヤった事にユウナは切れたんだよ。」
予想外の言葉ばかり連発する龍馬だけど、俺は驚きや軽蔑を通り越して心底感心した。俺も遊び人とか軽いとか言われてるけど、自分を好きなオンナを振り、その親友と寝たり俺はしねぇよ。
最初のコメントを投稿しよう!