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「お前、飯は?」
俺の返事を待つまでもなく、
ばさっと頭の横に投げられる袋。
龍馬は俺の頭の横にしゃがみ込む。
「食ってねぇ」
目を瞑ったまま告げる。
「食えよ。」
「腹減ってねぇしいいや」
「いらねぇんなら俺食っちゃおー」
正直言えば腹は減ってたけど、こいつと必要以上に話したくなかった。
龍馬はパンを頬張りながら、
もうひとつのパンの袋を食えと言わんばかりに顔の前でぷらぷらとして、俺に差し出す。
「…さんきゅ」
「何拗ねてんだよ。あやまったろ?」
龍馬は目を細めながらにこにこと俺の頭をくしゃくしゃにする。龍馬の手を振り払い俺は急いで起き上がる。
「やめろよ。頭崩れんだろ」
「なぁ機嫌直せよ」
何故かこいつの前ではいつもの俺のペースが保てない。主導権が奪われるのは好きじゃねぇ。
「なんの話だよ。」
「なぁ、ミナト」
「ん?」
「俺さ、女には困ってねぇ。」
いい加減しつこい。
「俺も困ってねぇよ。だからセフレの一人や二人いなくなっても困らねぇよ。しつけぇよ。終わった話だろ」
さっさとこの話を終わらせたかった。
「ぶっちゃけ言っていい?俺ミナトとヤりてぇ」
ふざけている様子もなく、真面目な顔で淡々と話す龍馬。馬鹿みてぇな事も、この顔で言えば、それなりに聞こえるのが怖いところだよ。
「は?冗談きついだろ。笑えねぇしそれ」
ふざけたように告げる。
「俺が冗談言ってるように聞こえんのか?」
龍馬はさっきまでとは違う、
ワントーン低い声で俺に告げる。
男らしい眉に、目力のある綺麗な二重まぶた、力強く筋が通った鼻、いじわるに切れ上がった口角。
心臓がまた再び早く脈打ちだす。
龍馬は怒ったように顔から表情をなくす。
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