不協和音

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入学式には行ったけど、だるいって言う理由で式典には出ず、中学から一緒で仲がよかった、拓也と翔と式典が終わるまで体育館裏でさぼっていた。 式典が終わると、体育館からわらわらと人が出てきた。その中に見知った顔も何人かいて、自然とみんな集まった。 「お前ら式典出ろよ」 「こいつ、俺の連れ」 「だりぃ。よぉ。」 みんな口々にあいさつや軽口を叩き、式典に参加した奴も一服といわんばかりにたばこをふかして、 しばらくして全員で一年校舎に向かった。 俺だけクラスが違ったから、アイツらと離れた下駄箱に靴を突っ込む。俺以外の気配を感じで振り返れば、さっき一緒にたばこを吸っていた中にいた奴が隣にいた。高1にしてはでかい俺より、目線一つ上から覗いてくる。某男性アイドルグループにいそう。なんてよく形容される俺だけど、例えて形容するならこいつは某ボーカルダンスユニットにいそうなやつだった。七人組のボーカルに似てね?何か悔しいしオンナみたいだからいちいち口には出さなかったけど。男の俺から見てもかっこよかった。 「あ、お前も一緒?」 そんな風に考えているなんて、何故かばれたくなくておくびにも出さないように事もなさげに言う。 「あぁ。一緒みたいだな。」 靴をしまいながら笑いかけてくる。持参した上履きに履き替えて流れで一緒に教室に向かう。 お互いにたわいない会話をしながら教室に入る。 すでに教室には生徒がたくさんいた。 俺は窓際の一番後ろに座る。それと同時に教師が2人教室に入ってくる。 簡単にあいさつをし、出席をとっていく。 名前を呼ばれたから返事をする。昔から定番のそれ。俺は名前を呼ばれたたやつを見て勝手に印象付けていく。あいつかわいーなとか、あいつぶすとか。俺だけじゃないよなやってるの。 キリタニミナト。そんな事を考えているとふいに、名前を呼ばれて急いで返事をする。 次々とテンポよく名前が呼ばれて行く。 サエキリョウマ。 下駄箱のあいつが返事をする。 1人で納得して、何となく飽きて机につっ伏せる。 これが俺が龍馬と初めて会った日の記憶。
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