不協和音

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入学してしばらく俺と龍馬は一緒につるむ事が多かった。正確には中学から仲のよかったメンバーが集まってさぼる時にそれぞれの友達を連れてくる為、自然と入学式のメンバーに近いメンバーで一緒にいた。女子ほどじゃねぇけど男でも飯は一緒に食ったしたまには連れションもした。 一年の終わりにははじめはよそよそしく牽制しあっていた奴も打ち解けて仲がよくなっていた。 俺たちの日課は階段下の自販機の所にたまってさぼる事。階段を登っていく女子のスカートを下から覗いて下着の色当てなんて、くだらねぇゲームが流行っていた。俺1人だったら馬鹿馬鹿しくて絶対やらねぇけど。 丁度俺らのクラスの可愛いって言われてた三人組が階段を昇っていくとこだった。三人も俺らを意識してかスカートを抑えながら足早に上がっていった。 俺は三人の中で、水島っていうオンナがタイプだった。背が小さくて細くて、色が白くて今時あざといまでの黒髪ストレート。めんどくせぇから自分から声をかけたりした事なかったが、水島とはクラスでもよく喋ったし、水島のグループともよく放課後遊んだりしていた。水島は外見とは反してさばさばしていたし、いいやつだった。だから結構仲がよかった。自惚れてるわけじゃねぇけど水島も俺に悪い印象は持っていないと思う。 「おい、お前らやめろよ。水島見てんじゃねぇよ」 まわりから囃し立てられたりからかいの声があったけど、笑ってながした。ふざけ半分、本音半分。 水島が振り返って笑う。 「っ、キリタニ馬鹿じゃん。」 照れたように顔を赤らめて走り去る。 「水島まじかわいーよな」 「ミナトん事ぜってぇ好きだろ」 「お前らヤったのかよ」 三人の姿が見えなくなった途端、騒がしく茶化してくる。確かに可愛いけど、まだヤってはない。誘われたらヤりたいとは思う。思ったままそう告げると、 「出たよ。オンナの敵。」と盛り上がる。
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