不協和音

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ふと龍馬をみれば口元は笑っているけど目は笑っていなかった。こいつは時々こんな時がある。 「なぁ龍はいねぇの?タイプのやつ」 「俺?女はみんな好きだよ。」 ふざけたように笑っている。 「お前雑食かよ。爆笑。」 誰かが笑い、俺も適当に笑う。 話の延長で自分に回ってきてもいつも、適当に受け流す。何か大人って言うか冷めてるよなこいつ。 こいつが雑食じゃねぇっていうのは、俺は知っていた。 いつか、今年入学した中でユウナとサラが一番可愛いってこいつらが騒いでた。 2人いんだから一番じゃねぇよなって思ったけど口には出さなかった。 いちいち騒ぎ立てられるのも鬱陶しいのでこいつらには言わなかったけど俺はサラとヤった。理由は誘われたから。夏休みの前に告られた時に彼女はいらねぇって言ってから、体だけの関係。俺もサラもまわりとの関係を考えて、不用意には口外しなかった。 サラは自分の事はまわりに喋らなくても、よくユウナの話をしていた。ユウナは中学から龍馬の事が好きだけどずっとフラれていると。この学校も龍馬の事が好きだから選んだと。 ベッドで裸になり、俺に抱きつきながら、甘えるような仕草で顔を寄せて、 それなのに龍馬に相手にされていないと、ユウナを小馬鹿にしながら笑う。 お前も大差ねぇよ。と心の中でつぶやき ふうんとだけ返事しておいた。
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