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サキがけげんな顔をして、ずっとそのオウムを見つめていると、さっきまでまるで飾りもののようにピクリとも動かなかった鳥使いのおじいさんが、いきなり大きく口を開けて大きな声で話し出しました。
その声にびっくりしたのか、はたまた鳥使いのおじいさんが操っているのか、ハトたちがいっせいにバタバタと飛び上がり、また元の位置に戻りました。
おじいさんが言ったセリフは、オウム同様にやはりサキの理解のはんちゅうを超えていたものでした。
「君は、このオウムがしゃべった内容は、嘘だと思っているね。君の知り合いの子どもが、いらずらでオウムに何か吹き込んだと、そう思っているね。
だけど、このオウムが言っていることは、オウムが思っている本当の願いなんだ。このオウムはひとが言ったことをマネせずに、思ったことをしゃべってしまうんだよ。
このオウムはね、フウセンオウムという種類で、ある日遠くから風船のようにふくらんだ姿でよろよろと飛んできたのを、助けたんだ。
しばらくすると、ぱんぱんにふくれたフウセンオウムの身体がどんどんしぼんでいって、普通のオウムとほとんど変わらない見た目になってしまった。
オウムはフウセントンデッタ、フウセントンデッタと毎日叫ぶので、風船を脚にくくりつけてやったら、少しおとなしくなってね、ついでにマジック用の普通のハトにも風船をくくりつけて、風船をつかった芸を始めたら、お客さんに喜ばれるようになったんだ。
ほら、少し観せてあげよう。」
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