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サキはその光景をくい入るように見ていました。
本番のサーカスよりも簡素なショーでしたが、初めてショーを観るサキにとっては十分満足のできるものでした。
おじぎをしたおじいさんとオウムが、立て続けに話します。
「私たちのショーをご覧くださりまことにありがとうございました。
もうお別れの時間となってしまいました。またお会いできる日を心から待ち望んでおります。ではさようなら。」
『マタミテネ!マタミテネ!』
「おっと、お別れを言う前に、このフウセンオウムがさっき言っていた、種を渡さなければね。
いいかい、お嬢さん。この種をあそこの丘の上に蒔いて、大切に大切に育ててくれるかな?こいつの仲間が、お空の高いところで助けを待っているらしい。その仲間がいる高さのところまで、この木を育てて欲しいんだ。
任せても大丈夫かね?」
『サキ、キミニタノミガアル。
ナカマガマッテルカラ。
ズットマッテルカラ…。』
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