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「叶わない片思いも三年目になると辛いね。うん、がんばれ、英司!」
他人事だと思って楽しそうに。
さりげなく誠の鳩尾に肘を入れたところで、衛士(えじ)達の声が上がった。
「いたぞ!胡蝶だ!」
俺達の目の前に姿を現した胡蝶。
月が雲に隠れてしまったせいで、影しか見えない。
胡蝶は一瞬だけ動きを止めた。
まるで、それは挑発するかのような動作。
「追うんだ!絶対に逃がすな!」
素早く辺りを見回して、誠の肩を叩く。
「誠!そっちは任せた!」
「了解。絶対に捕まえてくるからさ!」
誠が衛士や生徒会役員の間を縫って駆け出す。
呆気に取られていた人々も誠に次いで胡蝶を追いかけ始めた。
そんな中、俺は一人逆方向の博物館へと足を向ける。
胡蝶は二人組の怪盗だから。
誠達が追いかけて行ったのは一人。
残る一人は結晶のある博物館への侵入を試みていてもおかしくない。
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