第1章

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僕が彼女に恋をして3年。ついに思いを伝えることはできなかった。 僕は教室の窓から外を眺め、物思いにふけっている。木にとまっている灰色の鳥を見ながら、どうしようもないのだと自分に言い聞かせる。 教室に目を移すと、学年で1番かわいいと噂の彼女の姿が目に入る。 「とうとうお別れ、か。」 明日は高校卒業の日、彼女と会うことももうないのだろう。会えるとしたら10年後とかに開かれる同窓会くらいだろうか。 彼女とは何気ない会話くらいはできるのだが、話にセンスのない僕には彼女を楽しませているという感覚は今まで得られなかった。 「そろそろ帰るか。」 僕は気持ちをそっと胸の中にしまい、教室を去った。これで恋はしばらく終わりだ。明日は卒業式だし、気持ちを切り替えなければ。 そんなことを思いながら廊下を歩いていると、不意に後ろから、
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