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自分の部屋の明かりを消し、暗い部屋で独りぼうっとしていたはずだったが、今は全く何も見えない暗闇に横になっている。
横に?それも不確かだ。
真っ暗闇にいると視界に頼れないので上下左右が一瞬わからない。
重力によって判断すると、恐らく自分は横向きに寝ている。
右手を、右に動かしてみた。
鉄のような冷たい感触がした。
左手を左に動かしてみた。
鉄のような冷たい感触がした。
左右の感じからして、鉄の箱に入ってるのかと思う。
横幅は1㍍無いか。
感覚だから定かではないが。
足はどうか。
足を伸ばしきって動かしてみる。
大の字になるように股を開いてみると左右の鉄のような冷たい感触のものに当たる。
足元の方は足が当たらないので、横幅より長いのか?
頭の方はどうだ。
手を上げたような形にし、確認してみると手には何も当たらない。
寝て起きたような感覚に囚われていたが、ふと我に帰ると、一気に恐怖が満ち溢れてきた。
どうなっているんだ?
ここは。どこだ?
俺は、部屋にいて、サイトを見ていて、気づいたら変な広告が出てきて、気づいたら変な暗闇にいる。
さっきは何時だった?
夜にはなってた、いや、どうだ夕方だったか?憶えていない。
何も見えないし、目が慣れてきても見える気がしない。
風はなく、音は自分の立てた音が軽く響くくらいで静寂過ぎて耳がキンキンする。
「おーい!」
独り叫ぶ。
「おーい!誰かー!」
人は独りを感じて怖くなると決まってこう叫ぶ。次はこう叫ぶ。
「ここはどこだ?誰か答えてくれー!」
すると、すぐ近くから
「おーい。おーい、だれかあ。ここはどこだあ、誰か答えてくれー。」
声は頭の近くから聞こえた。
すごい近くなので、どなるようではなく、少し高い男の声で棒読みのように自分の言った言葉を繰り返した。
「え?そこに誰かいるの?」
鼓動がドッと増した。
呼吸が細かくなる。
緊張しているのだ。
「おーい、おーい。おお~い、オゥ~イ、オイ。」
高い声は、最後に太い声に変わり怒りにも近い強い口調になった。
「だ、誰だ??」
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