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「死にたい?死にたいでしょ?生きるのに疲れたでしょ?さあ新しい人生の始まり!だから人生は楽しいねぇ嬉しいね~苦しい思いをしたね悲しかったねもう独りは辛いね?ね?ね?ね?」
悠斗は暗闇の中、何も出来ないまま本能からか、声のする方より後ろへ下へ身体をズラしていった。
何を話しても無駄なような気がして、反論や返答はしなかった。
ここへきてからやけに冷静になれる。
あの時の自分のようだ、ふと考えた。
恐らく声の主の足元の方へ身体をズラしたころ、足の辺りに空洞があることに気づいた。
今は身体は横向き。
恐らく縦に穴が空いており、下に向かって空洞が続いている。
暗闇では、触らないと幅がわからないので、踵で穴の大きさを測った。
6、70センチ四方だろうか。
もちろん暗闇で、足だけで測るのは目測より具体性が無い。
また、微かにそこから明かりが感じられるのだ。
身体が通るサイズである。その感の甲高い声の男と言ったら、
「フーフフフ行くの?行くの?早く行きなよあなたが求める展開が待ってるさ期待が高まるね私の顏は憶えているか?憶えてる?また会うしルールの説明をするよー後で会おうねぇ」
とおもしろおかしい。
暗いから顔は見えない。
悠斗は、普段なら危険を感じるものの、この事態なので、穴に足から入り込み、下?に降りた。
暗い。
どんな広さかわからないまま、暗い闇の中で息苦しくなった。
息は荒げ、鼓動が高鳴り、冷や汗がどっぷりと噴き出しているのがわかる。
この狭い空間の中で上にも下にも行けずに挟まってしまったら...。
もちろんこの状態では誰も助けてくれそうにない。
あの得体の知れない男はもう声は聞こえない。
この通路はいわゆるダクトのようなものだと思うが、滑り台のように急降下できるような代物ではなく、途中で曲がったりしているようだ。
手と足でズルズルと降りる。
明るさが増していき、片方の足がゆるい風を感じた。
外だ。
足を下ろして行くとそのダクトの下に床があり、足が着くくらいの低さまでダクトの出口があり、両足で着地することが出来た。
しかし、頭まで出さないと出れないくらいのスペースしかないので、キツイがしゃがむような格好まで下にいき、暖簾をめくるような格好でダクトから出た。
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