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悠斗はここ最近のあまり生きた心地がしなかった生活から一変し、驚愕の連続であるこの事態がまだなんなのかさっぱりわからなかった。
ずっと胸につかえているもやもやした気持ちはここに来る前から 終わりがないと思っていた。
ただ、もうどうでも良くなった人生の刺激では無いと言えば嘘になる。
悠斗は興奮を抑え切れずにいた。
そんな時にいきなり脳天の先から声が聴こえる。
「ルールはないよ?ただ、あなたにクリアしてもらわないといけないことがあるそれは『最期まで死ぬな』だ!よ!
僕も仕事でやってんだからね?説明をしないといけない。聞く?聴く?」
頭の中から響くような感覚の中、さっきの見えない男の声だということはすぐにわかった。
「今から、すぐに死ねっていうわけじゃない。あなたに死なれると僕が怒られるしね。
今からあなたに死に場所にいってもらうんだが、その時には本能でうごいてもらわなきゃいけない。
本能で、ね。
それに、あなたは自由、でもあなたには独りは許されない。
孤独は許されない。
過去を振りほどいてください。
過去はもうあなたに必要な要素ではありません。
では、どうぞ。」
よくわからない。
男の言った言葉というと?自由?孤独?過去?なんか統一性がない。
うんちくを語るだけ語って説明がなしかよと振り向くと
ガガーっと。
部屋の鉄で出来た非常扉のようなドアが開いた。
悠斗は言われるがままにドアから外の通路に向かった。
何処かのマンションの地下室のようだ。生活の香りがする。
薄暗い通路を少し進むと、階段があり、さらに明るくなっているようだ。
蛍光灯に寄っていく、小蝿のように引き寄せられると次の階についた。
ここは...??
悠斗がまだ、新婚のころ住んでいた賃貸マンションだ。
何故ここに?ここは今の自宅とは程遠い県をまたいだ都心で今はここは新しく立て直しが始まった場所のはず。
あの頃のままだ。
最後に住んでいた年で築五年のまだ比較的老朽化の少ない綺麗な姿のままであった。
まさか。
こんなことがあるのか?夢?
いろんな気持ちがよぎる。
以前のまま部屋には妻と子供がいるなら...。
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