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『──今朝、山梨県○○市の原生林近くで、人間の頭部だけの遺体が発見されました。歯列等からこの頭部は先週から捜索願の出ていた東京都在住の中学1年生、速水 亮介くん13才とみられ、頭部以外の部位の捜索が進んでいます。亮介くんは先週、部活動の帰りに友人たちと別れて以来、行方がわからなくなっており……』
「やっべ、遅刻する! いってきまーす!」
「ちょっと翔平、まだヨーグルト残ってるじゃない! だからもっと早く起きろっていつも……」
テレビから流れるニュースと母親の声を置き去りに、翔平は玄関ドアを開ける。
すると、家の塀にとまっていた大きなカラスと目が合った。
それは値踏みするように翔平を見つめ、彼が近づいてもいっこうに飛び立とうとはしない。
「……なんだコイツ、気持ちわりぃ……」
『東京で消息を絶った亮介くんが山梨県で発見された事から、警察は亮介くんがなんらかの事件に巻き込まれたとみて捜査を続けています。尚、発見された頭部は損傷がひどく、野犬などの動物に襲われた可能性も視野に入れ……』
【完】
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