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『貴方の心が欲しいです』
しばらくの沈黙の後にそう言われた時は、呆気にとられた。
彼女はここ1ヶ月ほどここに通ってきた人で、決して建物には入らず、皆が帰るのを見送る私に話しかけてきた。
最初はずいぶんと切羽詰まったような表情を浮かべていたから、これは見過ごしてはまずいだろうと判断したのだ。
腰を落ち着けて話を聞こうと中へと促したが、彼女はかたくなに、一歩たりとも建物には近づかなかった。
仕方がないので私が彼女について行き、公園のベンチで話を聞く。
内容自体はよく聞く家庭での親との関係だったが、別れ際に握手をした時に、私にはわかってしまった。
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