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「ずっと待ってるから」
その言葉を最初に口にしたのは俺だった。彼女と付き合い初めて2か月ほど経った頃、彼女にある病が見つかった。
俺達が住む田舎町の病院では対応しきれず、彼女はしばらく母親と共に東京に行くこととなった。
彼女の父親は仕事もあり、この田舎町に残るそうだし、彼女も「心配ない」と言っていたから俺は素直に言葉通り受け取った。
そうして別れの日。
俺は彼女に言ったんだ。
「ずっと待ってるから」
彼女はコクリと頷き微笑んだ。
いつも通りだった。
しばしの別れ。
寂しいけど少しだけ我慢だ。
彼女が元気になって戻ってくるのを待とう。
この時の俺はなんの心配もしていなかった。
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