7人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「で、おかしな夢っていうのは?」
「そうそう、それなんだが。昔、知り合った慈艶とかいう方位磁針の付喪神がいるんだが、突然出て来てある家に連れて行かれたって夢なんだ。ただ、なんとなくあの家に妖気が漂っていた気がしてな」
「夢なんだろう」
ネムは唸り、考え込んでしまった。
――そんなに気になるのか。ネムが気になるってことは何かが起きる予兆なのかもしれない。
「真一、すまないがちょっと出掛けてくる」
ネムはそう口にすると、玄関へと足を進めた。ネムは猫の姿のままだから扉を開けることが出来ないのだが、猫神だ。開いていない扉など関係ないとばかりに突き進み通り抜けてしまった。便利な身体だなと感心せざるを得ない。
***
最初のコメントを投稿しよう!