時守家の秘密~猫神様がやってきた~

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***  胸ポケットの中から時歪が小声で「ベッピンさんと一緒がいいなぁ」と何度も呟いている。  まったく色ボケな付喪神だ。  アキは慈艶の言葉に従いながら、歩みを進めていく。 「楽しみ、楽しみ」  アキはいつもの怖い笑みを浮かべている。けど、その姿は普通の人には見えない。それが唯一の救いだ。見えたとしたら、皆悲鳴をあげて逃げてしまうかもしれない。それはちょっと言い過ぎかな。 「まだか、まだ着かないのか。もう飽きてきた」 「うるさい、トキヒズミ」 「はい、はい。黙りますよ」 「本当に楽しい方たちですこと。おや、あれは……」  慈艶がフッと着物の女性姿へと変化して、道の先を指差した。  彰俊には何も確認出来なかったが、アキは気づいたようだ。
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