7人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
***
――許さない、許さないんだからね。
玄関扉をバタンと大きな音をたてて閉めて、リビングへと突き進む。そこには真一がソファーに横になって昼寝していた。
――ああ、ムシャクシャする。
寝ている真一に近づくと、頭を小突き「馬鹿、阿呆」と罵った。
「いてぇな。いきなり何をするんだ」
真一はそれだけ口にすると押し黙ってしまった。
「なによ、なんか私の顔についているっていうの」
「あ、いやなにも。何かあったのか。すごい怖い顔しているぞ。それに泣いているのか」
「なによ、怖い顔って。泣いてなんていないし、どうせ、私はブサイクですよ」
「いや、そんなこと……」
「いいから、黙って」
ミコは真一の言葉を遮り怒鳴った。
「ああ、もう腹立ってきた。絶対に許さないからね。真一、私、しばらく猫の街に帰るから。呪ってやる」
近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばして、再び玄関扉をバタンと閉めて駆け出した。
***
最初のコメントを投稿しよう!