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ミコの奴、どうしたって言うんだ。まるで、あれは鬼だな。
「ミコ、いるか」
突然、ネムの声が鼓膜を震わせた。
――びっくりした。いつの間に帰ってきたんだ。
「おお、真一。ミコはいないのか」
「ああ、今までいたんだが。なんだかすごい形相で呪ってやるとか喚いていたけど」
ネムは嘆息を吐き、かぶりを振った。
「ごめん、ネム。アキ悪い」
「いや、アキのせいじゃないさ。話も聞かずに勘違いしたミコがいけない。いや吾輩も悪いのかもしれないな」
――あの子は誰だろう。可愛い子だけど。まさかネムの彼女だったりして。物の怪みたいだし。
「ところで、その子は?」
「ああ、アキだ。吾輩の友とでも言えばいいかな」
「違う。弟子」
「弟子なのか。彼女かと思った」
「真一、おまえも勘違いするのか。こいつは男の子だぞ」
「えっ?」
男の子だとはね。そう言われれば、そんな気もしなくもない。
ネムとアキの並んだ姿にミコの鬼の形相の意味がなんとなくわかった気がした。
――ミコは早とちりする性質だからな。
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