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「アキ、おまえ」
彰俊だった。
「化け猫の本性現したのか。恐ろしや」
「時歪、ふざけている場合か。アキがそんなことをするわけがないじゃないか」
「けど、あの血塗られた包丁はなんだ。現行犯逮捕だろう。アキは殺人猫だ」
「やめろ、アキはそんなんじゃない」
ネムは、ふたりに目を向けて「どうしてここに?」と話しかけた。
「慈艶が凶兆だ、急げと急かすもんだから。気づいたら、ここに来ていたというわけで」
彰俊の言葉に、ネムは頷き「なるほど」とだけ口にした。
「ネム様、大丈夫なのですか」
慈艶が怯えた顔で、ネムに寄り添って声を掛けてくる。
「大丈夫だ、心配するな。もう治療済みだ」
ネムは遅れてきた彰俊、時歪、慈艶に掻い摘んで話して聞かせた。
「ほら、アキは何も悪いことはしていなかったじゃないか」
彰俊の言葉に「はい、さようですね」とだけ呟き、ポケットに退散した。
あとはミコの誤解を解くだけだ。けど、もう少し落ち着いてからのが良さそうだ。
「あ、ネム様。まだ凶兆は終わってはおりません」
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