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慈艶の言葉に、ネムは「なに?」と眉根を寄せた。
背後にミコの気配がある。だが、異様な気を纏った気配だ。
ミコへと顔を向けると、そこにいたのは般若の面を被ってでもいるような恨みがましい顔があった。
「おい、ミコ。ど、どうしたって――」
「黙れ、ゴミが」
「ご、ごみって」
「真一、ミコは何者かに憑依されている。無闇に近づくんじゃない」
ネムの忠告は間に合わなかった。ミコに腕を掴まれて真一は振り飛ばされて草むらへと姿を消してしまった。まずい、怨霊にでもとり憑かれたか。
――真一は大丈夫だろうか。微かに呻き声が聞こえる。きっと大丈夫だ。そう信じよう。
「アキ、結界を張れ」
彰俊の叫び声に、アキはハッとした表情をして彰俊を見つめて頷いて何かを呪文のようなものを口にした。
あたりの景色が一瞬歪んだ気がした。結界が張られたのは間違いなさそうだ。
ミコはというと、ゆっくりとした足取りでアキへと向かっている。
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