時守家の秘密~猫神様がやってきた~

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「疑問を解決させてあげましょうか」  慈艶がスッと寄り添って来て微笑みかけてきた。彰俊は後退り、顔を赤らめた。 「慈艶、ダメ」 「はい、はい、わかっていますよ。ちょっと虐めたくなってしまってね。ネムはその昔、栄三郎と逢っているのですよ。そのときアキとも逢っているのです。アキの力はすでに備わっていたのですが、ネムはその力の有効活用を親身になって教えてあげていたわね。『間違ったことに使ってはならぬ』ってね。たった一度の出逢いでしたが、それでアキは師匠と呼ぶのでしょう」  なるほど。 「ネム、逢いたい」 「うふふ、ならば早速参りましょうか」 「居場所を知っているのか?」 「はい、もちろんです。ですが、この姿でずっといられないもので、わたくしを持っていってくださいませ。よろしいでしょうか」  彰俊は頷き、「アキ、行こうか」と笑んだ。 「待て、待て、待てぇ。おいらを置いていこうとは、間抜け者め」  時歪はアキに睨まれ、すぐ口を閉ざしたが彰俊に目配せして『連れて行け』と訴えてきた。  彰俊は胸ポケットに時歪を押し込み、方位磁針となった慈艶はアキに手渡した。 ***
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