ずっと待ってる光景

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   2 「ずっと待ってるから」  桜舞い散る、ある晴れた日。彼女と学校の廊下ですれ違ったときに、言い放れた台詞。 「なにを?」  オレは思わず聞き返す。  彼女は足をとめ、髪をなびかせて振り返る。 「バレンタインのお返し」  片手を差しだして告げる彼女の顔は妙に真剣だった。  ホワイトデーのことか。けれど、とオレは思う。 「きみからチョコをもらった覚えはない」 「ひどい。板チョコだけど、あげたのに」  あの板チョコの破片がバレンタインチョコ? 驚愕の事実に開いた口が塞がらない。いや、それよりもあんな嫌がらせに近いチョコでお返しをせびるなんて……。 「おめえ、どうかしてるぜ」  彼女に俺のにぎりっぺを手渡すと、俺は一目散に駆けだした。
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