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「あ、またメッセージが……」
『一緒にいる奴、まさか彼氏とかじゃないよね?』
「さっきブロックしてくれたんですよね?どうしてまた………」
急に怖くなって来て、ガタガタと震えてしまう。
どうして私がこんな目に遭わないといけないの?
そんな私からスマホを取り上げ、食い入るように見ている先輩。
「別のアカウントから送って来たんだろうな。またブロックしとくけど、また別のアカウントを使って来るかもな。結構しつこい奴だな」
「先輩…私怖いです。どうしたらいいんですか?先輩にまで迷惑がかかってしまったら私……」
「俺のことより小山内さんが心配だよ。俺と一緒のとこ見てるってことはやっぱり、ストーカーなのかもしれないな。まさか突然ナイフとかで襲いかかって来たりはしないだろうけど」
「縁起でもないこと言わないで下さい!!」
「大丈夫だよ、俺がそばにいるから…」
よかった、ひとりだったら心細くてこんな恐怖に耐えられなかっただろう。
先輩が一緒にいてくれたら、きっと大丈夫。
「……小山内さん、驚かないで聞いてくれる?誰かに、尾けられてるみたいだ。不自然じゃない様に気付かないふりで歩くよ。あそこの電柱まで歩いたら俺がそいつを捕まえるから」
え?捕まえる?
ナイフ持ってたりしたら危ないんじゃ……。
どうしよう、私はどうしたらいいの?
結局どうしたらいいのか分からないまま、電柱にさしかかってしまった。
それを合図に先輩は急に後ろに向き直って走り出した。
慌てて逃げ出した男の手には盗撮用なのかカメラがあった。
「逃がすか!この変態ストーカー野郎!!」
男を捕まえた先輩はカメラの画像を確認して、警察に突き出してやると息巻いていたけど……。
「すみません!画像は全部消去しましたから!!もうしませんから許して下さい!!」
そう言ったストーカーの左頬を拳で殴りつけた先輩。
「もう二度と彼女の前に現れるな!とっとと消えろ!」
「は、はい……」
慌てた男は殴られた頬を擦りながら、落としたカメラも拾わずに逃げて行った。
「もう、大丈夫だよ。……小山内さん?」
「こ………怖かった………」
ヘナヘナとその場にしゃがみこんでしまった私はホッとしたからか涙が出てきて止まらなくなってしまった。
「もう大丈夫だから、もう泣くなよ。これからもずっと俺が守ってやるよ」
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