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聖福寺の祖師に見送られながら十郎少年と大方和尚は少し離れたところにある円覚寺へと歩いていく。
だいぶ辺りも暗くなり、闇に紛れていく少年の背中を見つめながら、秀山祖師は呟いた。
(まことに、龍の気を放つ少年じゃ。良くも悪くも、周囲におる者に強い影響を与えずにはおかんじゃろう。菊池十郎武光か……はたして彼の目に世の中はどう映るじゃろうの)
本殿の灯りを取ると、秀山も方丈へと移動する。今夜の夜座は長くなりそうだ、と考えて、ふっと笑った。
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