乱鴉

7/21
前へ
/93ページ
次へ
そういうことか。 十郎は秀山祖師の意図が見えた気がした。値踏みされているようで気分が悪い。 「祖師。聖福寺は政に介入を考えておられるのですか?」 表情を消して問い返す。 大方は十郎の横顔を思わず盗み見た。そうしていると少年の整った顔立ちは幼さが隠れ、気品すら漂っている様に見える。 「ほっほ! これは一本とられた。いやいや、我らは権力等に興味は無いよ。ただ修行さえ出来ればそれでええ。……じゃが、そなたには興味がある。して、どう感じたのじゃ?」 なおも執拗に問続ける秀山に、十郎は諦めたようにため息を吐くと、しぶしぶ答えた。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加