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相模の発言に石見は冷めた目で見て言い放つと、彼はガクリと肩を落とし暗い足どりで車の後部席に向かい乗り込んだ。
どうやら前科持ちだったんだな、相模さん。しかも、俺を見下して余裕ぶっこいてたし、ざまぁみろだ。
洋一は表では冷めた表情をしつつ、心中でニヤニヤと笑い相模を見送ると、缶コーヒーに口付ける石見に声を掛けた。
「あの、石見さん」
「何や?」
「相模さんがあの現場にいた時、何か気になる事を言ってたんですよね。戸塚に仲間がいる情報なんてなかったって。
しかも、こっちに来るまで歩いていた時、聞いたんですよ。戸塚に狙われていた青年に向かって、少し遠くに位置する向かいのビルから銃弾が2、3発飛んできたと。
それを避ける為に青年を助けてたら、戸塚が銃撃と同時進行で相模さんを刺したんです」
「ははーん。成る程な。ビル内監視カメラ付けてへんからわからんかったわ。教えてくれておおきにな」
「いえ」
石見は少し思考してからニカリと笑うと、洋一は少し微笑んで車に乗り込むと、石見と森泉も続いて車に乗り込みエンジンを掛けて車を走らせた。
暫くして、色々と洋一達はたわいない会話をしながら移動し、車はゆっくりと本部地下の駐車場に入り、一番奥のスペースまで進んでバックし止めた。
相変わらず止めてある車が少ない淋しげな駐車場。
洋一達は、車から其処に降りて周りを見渡し、森泉が車の台数が行く時よりも多い事に気付いて首を傾げた。
「あれ?今日は集まる日だっけ?」
「集まる日?」
洋一が疑問を浮かべて問い掛けると、石見がケータイを操作しながら相模を連れてビル内へと歩きだし、森泉が答える。
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