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「この傷があるから、俺は反射的に風呂に入って来たヤツを追っ払ったりしちまうんだ。
ほら、この傷、見ただけでも目を背けちまうだろ?痛々しくてさ」
「この傷って、高校とか学生の頃とかに負ったのか?」
「いや、つい最近。って言っても、最近とは言えねぇ年月経ってるけどな……」
相模は体制を変えて浴槽の淵に顎をのっけると、ボーッとした目をして正面を見つめた。
洋一はそんな彼を見て、少し首を傾げる。
そういえば、心なしか相模の身体全体が紅いような気がする。
「相模さん?」
「ん゙ぅ゙~……」
段々力無く湯へ沈む相模の身体。
この様子に思い当たった洋一は顔を真っ青にして立ち上がると、慌てて相模を抱えて浴室から出た。
「ちょっ、逆上せるとかマジねぇよ!しっかりしろって!」
脱衣所で相模を寝転がせて腰に自分のタオルを巻き、もう一つの篭からタオルを掴んで彼に掛ける。
そして、洗面台に刺してあった団扇を仰ぎ彼に向けて風を送った。
「しっかりしろよ、相模さん!」
洋一が彼に声を掛けていたその時、
「洋一くん、守政がどうかしたの?」
ガラッ
丁度表の仕事から帰って来た森泉が、何やら楽しげに笑って脱衣所のカーテンを開けて入って来た。
「フギャァァァアッ!!!!
見んじゃねぇよ!この変態野郎ォォ!!!!」
森泉の声に復活したのか、逆上せていた相模がタオルを跳ね退けて飛び起き、勢いよく彼の大事な急所目掛けて蹴り上げた。
ドゴォォォン……ッ!
「グフォアッ!」
急所に当たった!効果は抜群だ!
「も、森泉さん?!」
男なら凄く当たったら痛い急所の股間を抑えて悶える森泉に洋一があたふたとしていると、相模は慌てて落ちていた自分のタオルとパンツを掴み、それを素早く履きタオルを羽織りながら脱衣所からダッシュで出ていった。
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