白いヤンギレは、マジ相手にしたくない(前編)

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   いきなり播磨に声を掛けられ洋一は少し戸惑うと、頬を指で掻きながら答える。  すると、播磨は、左手で赤い布を持ってズボンの右ポケットからライターを取り出すと、赤い布の先端に火を点けてそれを上に放り投げた。  ボッ 「ぉわッ!」  空中で赤い布が一気に燃え上がり洋一は声を上げると、其処から落ちてきた物体を播磨は華麗に受け取り、三人の前にそれを見せた。 「すっげぇ……トランプの箱が出てきた」 「驚いた?」 「えぇ、だって、まさか播磨さんがマジックが出来るなんて思っていませんでしたし」  播磨の質問に洋一はトランプを見て感動しながら答えると、彼は微笑んでトランプの箱をズボンのポケットに入れた。 「よし、これでちょっとした仕事の合間に後輩達を驚かせることが出来る。見てくれてありがと」 「いえ」  洋一はニコリと笑って播磨を見ると、彼は上機嫌で鼻歌を吹きながら階段を上がり部屋へと向かっていった。 「ホント、龍市郎はオシャレな趣味持ってるよなぁ。  これで、洋一くんみたいな若くてカッコイイ兄ちゃんがやったら、もう女子達にモテモテでサイコーかもね♪」  森泉は播磨を見送ったあと、ニヤニヤと笑いながら洋一を見て言う。 「俺で想像しないでくださいよ」 「えー?けど、マジック出来るようになったら、女の子達に囲まれてきっと楽しい日々送れると思うよ?」 「それは無理です。マジックする以前にもう、お腹いっぱいなんで……」  洋一は壁の遥か向こう側を見つめて答えると、遠い目をして笑みを浮かべたたままフラフラと歩き階段を上って自室へと向かっていってしまった。 「ねぇ、ヒノちゃん。俺、変なこと言ったかな?」  洋一を見た森泉は小首を傾げて隣に座っている檜原に尋ねる。 「間違いなく、兼城にはキツイことを言ったと思うぜ?人気者のお前ならわかる筈だがなぁ?」  
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