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白いヤンギレは、マジ相手にしたくない(前編)
今から二年前。
月明かりが照らす静かな夜。
東京郊外にあるオープン前のショッピングモールはより一層静けさを出し、不気味さも出していた。
そのショッピングモールの駐車場入口。
車でたまたま通り掛かった小肥りの中年女性と連れの中年男性が、横たわる複数の人影を見て車を止めた。
「なぁ、何か見なかったか?」
「見たけど、何か変だったわね」
「見てみようか」
「ちょっと、あなた。よしなさいよ!」
中年男が車から降り、女も慌てて降りると入口の人影のところまで足を進めた。
「――ッ!!」
二人は人影を見て背筋を凍らせた。
それは誰もが顔面血だらけのヤクザ関連の男で、上半身裸で更に白い紙には赤い字で、「オレ達は悪いことしました。ごめんなさい」と書かれてあった。
「キャーーッ!!」
中年女は金切り声をあげ、男は震える手で即座にケータイで110番を押した。
その様子が見えるビルの屋上。
白を纏い返り血を浴びた男が、月明かりに照らされた赤茶の髪を靡かせ、狂気に満ちた眼をして嗤っていた。
『いい恥曝しだな、屑人間』
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