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次の標的[ターゲット]は“オバサン”かよ?!
紅葉が美しく見える穏やかな夕暮れの道。
「もしもし?」
洋一が、ちょうどRe:set本部へと帰る時間帯となった、東京のとある高級住宅街。
見た目とても大人しそうで、白いワンピースを着た清楚なアラサーの女性が、買った食材でパンパンのエコバッグを肩から掛け、ケータイに耳を当てて電話をしながら歩いていた。
『ふふふ、いきなりすみませんね、二階堂さん。あなたに、“さいご”のお別れの挨拶をしようと思いまして』
「あら?まさか四日市さん、引っ越しをなさるの?」
女性は赤信号の交差点で立ち止まり、重たいエコバッグを持ち直してケータイに耳を傾けた。
その女性の背後には、黒いスーツを着たサラリーマン風の男性が立ち止まり赤信号を見つめている。
『いいえ、引っ越しなんかしませんわよ?だって、私、大切な子供の為に此処に残りますし』
「え?だって四日市さん、先程“さいご”のお別れだって言ってません?」
女性の背後に立っていたサラリーマンが、彼女に気付かれないようにバッグから銃を取り出す。
『えぇ、言いましたよ?何せその“さいご”は――
――バァンッ!!
響く銃声と辺りを染める血飛沫。
サラリーマンは手にしていた銃を再びバッグに戻すと、平然とした表情で踵を返しこの場から立ち去った。
「キャアアアッ!!!!」
「誰か、救急車を!!」
その直後、あの場所でたまたま通り掛かった人は悲鳴をあげ、閑静な住宅街は、一瞬で騒然な現場となった。
その後、胸を血で染めた女性は、現場に到着した救急車で即座に運ばれ、
彼女の血に塗れたケータイは、通話が切れた状態で地面に転がっていた。
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