“親の誇りのち、子の将来は下り坂”って言ってやろうか

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   其処に、黒服に、あの時の“鳥”のエンブレムを付けた人影が10人、入り込んで現場を囲んでいやがる。  間違いなく、ミッションの報告資料に書かれてはいない、予測外のもんだ。  そして、コイツらは皆、サイレンサーを装着した銃や小刀を手にして目を光らせている。  俺の読みが正しければ、コイツらはターゲット諸共、MUSASHI、RYUHA、ISSAを殺すつもりでいる筈だ。  ソイツらは今、その危機的状況を知らねぇ。  タイムリミットは、このミッションが今の中盤から終盤に差し掛かり、ターゲットを捕まえる瞬間だ。  SYUSEI、これを気付かれずに一気に仕留めて阻止すんのは、身体能力が高いお前しかいねぇんだ!  急いで、その場所へ向かってくれ!  Re:setメンバー達の命が懸かってるんだ! ====================  あの時の、“鳥”……?  オイ、何で、あの“トリ”が出てきてんだよ?何で現れてんだ?!  相模は、困惑しながらも直ぐにそのメールの差出人に電話を掛けると、椅子から立ち上がり相手が電話に出るのを待った。 『SYUSEI、あのメール、読んだな?』 「オイ、アレに書いてた“鳥”って何なんだよ?ホントに“あの時”の“トリ”なのかよ!?答えろ!!」 『いったん落ち着かねぇか!SYUSEI!』  電話口から聞こえる差出人の声に、相模は半ば苛立ちながら舌打ちすると、軽く息を吐いて冷静な声音で話し出した。 「教えてくれ。アンタが見た“鳥”のエンブレム。それは、アンタが知ってる“十二支の酉”なのか、それとも……、  俺だけが見た、あの“例のトリ”なのか……」  
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