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作戦は、“恋人同士”にありィ?!(前編)
──カタッ
カタカタッ
カタカタッ
僅かな人工光が差し込む、薄暗く広々とした室内。
其処に響き渡るのは、パソコンのキーを軽快に叩く無機質で冷たい音。
カタカタン……ッ
──カチッ
叩く音の終わりにマウスのクリック音が響き、それを操作していた七三分けの人物が、デスクトップからの光に照らされた口許をゆっくりと企みの笑みの形に歪め、その画面に表示された文章を見つめた。
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From:≡=≡.++??-??++.+=+-?=@○○○○○.ne.jp
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ゎたしも、よかったら○○○さんに会いた~い(*⌒▽⌒*)
けどぉ、○○○さんに送ってもらったメアドが文字化けして見れなかったんだけど、もぉ一度送ってもらってもいぃ?(x_x)
今後は文字化けしないといぃなぁ~
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「……ククク、馬鹿で愚かなカモだ。架空とも知らずに、まんまとボクの罠に嵌まってくれるとは」
七三の人物は、クツクツと不気味に喉を鳴らして嗤うと、デスクトップ上にあるメールのフォルダを開き、文章を打ち込んでそのメアドに送信した。
ピロリーン♪
「フ……ッ、ククク」
ガチャッ
「ボス、失礼しやーッス」
「何用だ?」
一人の背が高く顎髭を生やした青年が室内に入り、ボスと呼ばれた七三の人物は、デスクトップから視線を彼に移し、椅子の背もたれに自分の体を預けるように寄りかかった。
「今回のカモの相手は、誰が行くんッスか?」
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