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「でもよぉ。洋一、練、俺の三人は、女子達の間で“陸上専攻科のイケメン三羽烏[サンバガラス]”と言われてんだぞ?
しかも、捕まえづらいって噂になってるみてぇでさ、特に洋一、おまえは1番捕まえづらくて、イケメンレベルが高い上に出現率が低いという、スゲー条件付きなんだぜ?」
「ちょっ、何だよ、ソレ?俺はレベルの高いレアモンスターかよ?」
富士の話に、洋一は半ば呆れた顔をして起き上がると、彼はまた豪快に笑って話を続けた。
「いいじゃねーかよ、レアモンスター。俺なんか、ザコモンスターと変わらない扱いなんだぜ?」
「お前が、すぐに笑顔でファンの対応をするからだろ?
ザコ扱いされても仕方ねぇだろうが」
ガーンッ!!
「そ、そんな……、仕方ねぇとか、マジかよぉ……」
洋一に指摘され、富士はショックを受けて両手を芝生につけ、ガクリと重くなった肩を落とすと、うなだれたまま呟く。
そんな彼を見て、洋一は呆れて溜め息を吐いたその時、
ドドドドドド……ッ
遥か遠方から地響きが聞こえ、洋一は、ハッとしてその音がした方角を見ると、其処に入ってきた光景に顔を真っ青にして、慌てて立ち上がり全速力で走り出した。
地を巻き上げるかのような大きな土埃。
間違いない。
アレは、自分を捕らえようとしている、あの捕まれば恐ろしいくらいに面倒な女子ファンの大群だ。
「富士!後は頼んだぜーッ!!」
「ぅえ?!おい、洋一?」
遠くへと走り去りながら後を託す洋一の言葉に、富士はキョトンとして顔を上げ、キョロキョロと辺りを見回していると、此方に迫り来る土埃を見て目を丸くした。
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