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「悩みとか無いハズなのに……。まさか、彼氏、花菜に何かしたんじゃない?」
「ちょっ、ソレだったらマジないんですけど?!もしそうだったら、ウチ、その彼氏チョー許さない!マジ憎むわ!」
──ザザッ
『ねねっ、どうしたの、洋くん?急にキミからの通信入ってて、オレ、驚いたけど』
インカムから周防の問い掛ける声が聞こえ、洋一はそれに手を当てると、スマホ画面から女子達に視線を移し、その場から離れるように歩き出した。
「ちょっとだけ、気になることを小耳に挟みまして」
『気になるコト?ねねっ!ソレ、何?』
早速、周防が興味津々で食い付き、洋一に話の続きを促す。
「彼氏がいて、昨日まで幸せだった女子学生の、突然の自殺」
『ぇえー、何その、男女の一般的な恋バナ。
ねー、BLじゃないの?洋くん。オレ、一瞬で萎えた』
──オイ。こっちは少し気にして、真面目にお前に訊いてんだぞ?!
周防のあまりにも不真面目な発言に、洋一は、内心愕然として心中で批難の声を上げると、一度、軽く咳払いをして話を切り出した。
「SOUSHIさん、取り敢えず今は真面目に聞いて下さい。もしかしたら、これから発生するミッションに、何かしら関わってくる事例になるかもしれませんので」
『これが?ごく一般的な小さな揉め事のようにしか、オレ、思えないんだけど?』
「俺にとっては、これは若干事件の匂いがする感じなんですけどね……」
──ザザッ
『早速、サツみてぇな発言とか、アンタ、馬鹿じゃねぇの?』
「ッ?!」
突如、会話に割って入ってきた相模の見下すような声音。
洋一は、眉を寄せてピタリと足を止めると、直ぐに辺りを見回して視界に入った大木の影に隠れ、彼に対して小声で言い返した。
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