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バシィンッ!!
『ッんだとォ!?今すぐブチのめすぞ!!クズガキッ!!』
「あぁ、いいぜ?やれるもんなら今すぐやってみろよ、ドチb
「洋一?」
「うォオぅッ?!」
不意に呼び掛けられ、洋一は、驚いて声を裏返しながらその呼ぶ声がしたほうを振り向くと、其処には、不思議そうに首を小さく傾げて洋一を見つめる、ジャージ姿の嘉手納が立っていた。
「ふぅ……。なんだよ、嘉手納じゃねぇか。ったく、アイツかと思っただろーが」
「悪い。ここら辺を歩いていたら、少し洋一の怒鳴り声が聞こえてさ。気になって、つい、……な」
「あー、いや、それならいいんだよ。それに、怒鳴ってたのは俺のプライベートのほうだしさ。アハハハハハッ」
心配そうに見つめてくる嘉手納に、洋一は、苦笑しながら額に浮かぶ冷や汗を腕で拭うと、イヤホン型のインカムを耳から外し、それを素早くジャージのポケットに突っ込んだ。
「ハハハー。と、いうことで、じゃあな!また後日会おうぜ!」
バビュンッ!
「あ、あぁ……」
風のように走り去る洋一に、嘉手納は呆然としたまま手を振って見送ると、少し時間が経ち、ふと、一つ思い出して呟いた。
「後日って……、この後直ぐに講習で会うんだけどなぁ?」
ガチャッ
「ただいま~」
秋の空気が少し冷え込み、街のネオンが輝き始める、太陽が沈んだ午後6時。
放課後、各自行われる特別強化講習を終えて本部に帰宅した洋一は、いつものように気怠く言うと、欠伸しながらリビングに入って、目に入ってきた光景に少し瞬きをした。
誰もいないリビング。
其処のテーブルの上に、黒いファイルと共に手紙が丁寧に置かれている。しかも、それは自分宛てのものだ。
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