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「甲牙。俺は、今日はおとなしく、誰にもバレないようにお手伝いをしようと思ってたし、アンタにその事を伝えた筈だぜ?
なのに、何でその思いを台無しにしたんだよ?アンタは」
場の穏やかな空気を壊す程の凶悪な殺気。
「ねぇ、ちょっとヤバくない?」
「相模さん、怒ってるぜ?」
これに生徒達が怖じ気づいて見守る中、郡上は全く怖じ気づく事もなく、愉快に笑って相模の背中を叩き、教壇を指差した。
「そう怒るなよ。
ほら、今日、此処に来てくれた生徒達のために、色々と準備してきたんだろ?」
「……」
郡上に優しく問い掛けられ、相模は、不機嫌そうに彼を見つめて手を離すと、教壇へ近寄り、その影に隠してあった大きな紙袋を掴む。
それから、それを抱え直して運び、一つのパイプ椅子の上に乗せた。
生徒達が、とても興味深そうに紙袋を見つめる。
「えー……。まあ、気を取り直してだけど。今日は、講習に来てくれたアンタ達にプレゼントしようと思って、ちょっとしたモノを用意しました」
──ざわっ
「なにィッ?!」
生徒達が一斉に騒ぎ出し、反応した恵分が一気に食い付いて、手摺りから勢いよく身を乗り出した。
「ちょっ、俺、相模くんが欲しいww」
「恵分!お前、少し落ち着けよ!」
目をギラギラと光らせて、今直ぐにでも走り出して、相模に食らいつこうとする恵分。
これに洋一は、焦りながら彼女の両肩を背後から掴み、兎に角、彼女が相模のもとへと行かないように押さえ込む。
こうでもしないと、万が一だが、彼女は、怒涛の如き速さで相模に急接近してしまう恐れがある。
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