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とは言え、彼女はこう見えて常識をしっかりと持ち、マナーを守る腐女子。
そんな彼女が、この世で最も嫌いだと言う分類の“ゴキブリ(=あまりにも非常識、且つ礼儀知らずであり、マナーを守る事すらも出来ずに流行りのジャンルを食い荒らす腐女子を指し、他のマナーをしっかりと守る腐女子達のイメージを下げる、場違いクソ女の事。らしい。)”とは違って、ターゲットに向かって飛んでいくような事は、絶対にしない。
「「「キャアーーー!!!!」」」
急に湧き上がる、今までよりも凄まじい黄色い歓声。
「ん?」
ふと、反応した洋一は、講義室の全ての席を見回して、ヒクリと表情を引き攣らせた。
いつの間にか、女子達の視線が洋一に集中している。
「「「洋一くーーん!!」」」
「お?守政、日本全国を騒がせているあのイケメンが、この講義に来ているぜ?」
郡上が嬉しそうに洋一を指差して、隣に並んで立つ相模に話し掛けている。
洋一は、それに反応して彼らを見ると、腕組みをしながら立つ相模と視線が合った。
相模が、無表情でジトリと洋一を見据えている。その目はまるで、
「何で、アンタが来てんだよ?」
と、不満を告げているかのよう。
「(俺だって、この大学でお前には会いたくなかったんだけど)」
洋一が、とても面倒臭そうに相模を見つめていると、彼は紙袋を片手に抱え、それを持ったまま、洋一と恵分のもとへと通路を駆け上がった。
「うぉっほ!」
急にやって来た相模に、恵分が歓喜に目を光らせている。
すると、相模は、紙袋の中から一つの小さな袋を取り出し、それを恵分に差し出した。
「はい。まずは、其処の格好良いアンタにプレゼントだ」
「えッ!?いいンスかァ?!」
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