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恵分が更に歓喜して、目を輝かせて相模を見つめていると、彼は優しく笑んで頷き、恵分はその袋を受け取った。
「うっしゃあ!相模くんからのプレゼントゲットォオ……!」
恵分が、小さくガッツポーズして小声で叫んでいる中、相模が、また紙袋から小さな袋を取り出し、次は、洋一にそれを差し出した。
「アンタが兼城洋一くんだろ?将来有望の陸上選手だし、なぁ、後でさ、俺と一緒に写真でも撮ろうよ?」
「え……」
──何だよコイツ。急に知らねぇフリして。気持ちワルッ。
洋一は明らかに嫌そうな顔をして、ニコニコと笑う相模を見つめる。
その時、
ガスッ!
「うぐッ?!」
相模が笑顔を浮かべたまま、洋一の足を厚底の靴で強く踏み付け、そっと耳元に顔を近付けて小声で言った。
「兼城ォ。アンタ、俺のバディだろ?少しぐらいはさ、場の空気を読んで、初見の人を演じるとかしろや。なぁ?」
「(テメェ……)」
──ガチで気に食わねぇ!
相模の強要めいた台詞に、不快さで眉根を寄せた洋一は、黙ったまま横目で彼を見据えると、彼から小さな袋を受け取り、少しほくそ笑んだ。
「え、まあ……、放課後であれば写真撮影は出来ますよ」
「んじゃあ、その時はヨロシクな!」
相模がニカリと笑って洋一の肩を叩き、紙袋を大事そうに抱えて歩き出すと、他の生徒達にプレゼントを配り始める。
「洋一!オマ、スゲエじゃねぇかよ!」
「あ、あぁ。つか、スゲーのかどうなのかは分からねぇけどな」
恵分に声を掛けられ、洋一は気怠そうに頭を掻いて、相模から受け取った小さな袋を開けてみる。
そして、その中に入っていた物を見て、首を小さく傾げた。
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