動き出す『者』と、“浮上[あ]”がり出した『モノ』-2

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   恵分が更に歓喜して、目を輝かせて相模を見つめていると、彼は優しく笑んで頷き、恵分はその袋を受け取った。 「うっしゃあ!相模くんからのプレゼントゲットォオ……!」  恵分が、小さくガッツポーズして小声で叫んでいる中、相模が、また紙袋から小さな袋を取り出し、次は、洋一にそれを差し出した。 「アンタが兼城洋一くんだろ?将来有望の陸上選手だし、なぁ、後でさ、俺と一緒に写真でも撮ろうよ?」 「え……」  ──何だよコイツ。急に知らねぇフリして。気持ちワルッ。  洋一は明らかに嫌そうな顔をして、ニコニコと笑う相模を見つめる。  その時、  ガスッ! 「うぐッ?!」  相模が笑顔を浮かべたまま、洋一の足を厚底の靴で強く踏み付け、そっと耳元に顔を近付けて小声で言った。 「兼城ォ。アンタ、俺のバディだろ?少しぐらいはさ、場の空気を読んで、初見の人を演じるとかしろや。なぁ?」 「(テメェ……)」  ──ガチで気に食わねぇ!  相模の強要めいた台詞に、不快さで眉根を寄せた洋一は、黙ったまま横目で彼を見据えると、彼から小さな袋を受け取り、少しほくそ笑んだ。 「え、まあ……、放課後であれば写真撮影は出来ますよ」 「んじゃあ、その時はヨロシクな!」  相模がニカリと笑って洋一の肩を叩き、紙袋を大事そうに抱えて歩き出すと、他の生徒達にプレゼントを配り始める。 「洋一!オマ、スゲエじゃねぇかよ!」 「あ、あぁ。つか、スゲーのかどうなのかは分からねぇけどな」  恵分に声を掛けられ、洋一は気怠そうに頭を掻いて、相模から受け取った小さな袋を開けてみる。  そして、その中に入っていた物を見て、首を小さく傾げた。  
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