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星やハート、それに鳥や猫の形をした可愛らしいクッキーが入っている。しかも、よく見てみたら、どれもこれも手作りだ。
「手作りクッキー?」
「こりゃ、相模くんの手作りクッキーかもな」
「え?マジかよ?」
確かに、相模は料理が出来る。
が、クッキーを此処に居る人数分作ったとなると、相当時間と労力を使ったのだろう。
だが、これには少し一つの疑問が浮かんだ。
「相模さん、作る暇あったのか?」
「そりゃあ、たまたま収録とかのスケジュールが無かったからじゃね?
でねえと、こんなに作ることなんか無理だぜ?」
「ふぅん」
洋一は、半ば興味無さそうに小さく頷いて、持っていたクッキー入りの小さな袋をバッグに入れると、軽く息を吐き出して教壇を見つめた。
すると、郡上が教壇に立ち、満足げに笑って両手を教壇の上に突くと、マイクに向かって声を出した。
「よぅし。皆、プレゼントは貰ったみたいだな。これから、講習を開始するぜ!」
あれから全ての講習が終わり、放課後のチャイムが、俊英大学中に鳴り響く。
「『芸術学部のゲストルームで待つ。』って、言われてもなー……」
マップを見て覚えるのが面倒なので、どの学部に何が何処にあるのか、サッパリ判らない。
芸術学部の校舎内を歩いている洋一は、面倒臭さそうに呟いて頭を掻き、バッグからサングラスを取り出して、それを直ぐに掛けて弦のボタンを押した。
面倒だから、こういう時には、自分専用ツールの“追跡者の黒眼[チェイサーズ・アイ]”を使って、登録されている相模が何処に居るのかを探せば、あっという間に彼が指定した場所が発見出来る。
「おっ!」
早速、レンズにマップが現れ、相模が今現在居る場所が表示された。
「やっぱ、俺にはかなりの必需品だな。コレ」
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