動き出す『者』と、“浮上[あ]”がり出した『モノ』-2

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  「スッゴイ。なんか尊敬しちゃうんだけど~」  また洋一の弁当からザンギを摘んで、ソレを嬉しそうに食べる恵分の傍らで、翌桧は、洋一の弁当を少し羨ましそうに見つめて呟くと、嘉手納が、蒼く晴れ渡る空を見上げてボソリと呟いた。 「翌桧のために、俺も弁当を上手く作れるようになろうかな……」 「ちょっと、練ってば、何言ってんの?」  彼の呟きに、翌桧がほんのりと頬を紅く染め、彼に擦り寄りながら微笑む。  段々と、二人の周辺の空間が暖かくなってきた。そんな気がして、洋一は少しだけ表情を曇らせた。 「あたしが弁当を作ってあげるから、練は頑張らなくていいから」 「翌桧……。ありがとう」  リア充大発動。 「頼むから、それは余所でやってくれ」 「ハハハハハッ!」  この場に訪れた春の空気に、洋一は完全に呆れて呟くと、隣にいた恵分がケラケラと笑い出し、自分の弁当のおかずを一口食べた。 「こうじゃねぇと、翌桧と嘉手納らしくねえだろ?  ほら、洋一、さっさと弁当を食わねえと、食べる時間が無くなっちまうぜ?」 「あぁ。  はぁ……。お前みたいに、そうやって笑い飛ばしてしまう思考が欲しいぜ」 「やりてえところだが、オマエにソレをやっても意味無え代物だなww」 「(なんかソレ、地味に傷付くんだけどよ)」  洋一は眉根を寄せて、じとりと横目で愉快に笑う恵分を見ながら、黙々と弁当を食べ始めた。  彼女の割り切った性格には、自分には無くて少し羨ましいと感じる部分もある。  洋一の性格とは正反対な部分があるからなのだが、ちょっと洋一には複雑な部分も彼女は持っている。  それは、容姿端麗で才能はトップクラスの、世間に名が知れた有名人であること。  有名人になったお陰で、洋一は、ほぼ毎日のように女子達に追い掛けられているが、恵分の場合は、ファンと直ぐに打ち解けて交流までする為、狡いと思うこともあった。  
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