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「「「キャアーーーッ!!!!」」」
「「「郡上さぁーーん!!」」」
一斉に湧き上がる、女子生徒達の黄色い歓声。
「あーー。この声、マジ無いわww」
「(うっっわ。俺だったら絶対堪えられねぇよ、コレ……)」
そんな女子生徒達が歓喜で騒ぐ室内、恵分が、上から彼女達を見渡しながら軽く嘲笑い、隣にいた洋一は、テンションが下がったままスクリーンを見た。
教壇から遠くの席に座っている人でも見えるように、教壇に立つ郡上を映し出している。
「(あの人が郡上さん、か……)」
洋一が気怠くスクリーンを見つめている中、郡上は歓迎する生徒達をゆっくりと見渡して、とても満足げに微笑むと、手にしていたマイクを教壇のスタンドに差し込み、声を出した。
「生徒の皆、こんにちは!取り敢えず、周りの講義室では講習が始まっているから、ひとまず落ち着いてくれ。
何時まで経っても、皆に重要な事を伝えられないぞー」
「重要な事?」
「えー?なんだろー?」
先程までの喧騒が半ば静まり、生徒達が不思議そうに疑問を浮かべ、隣同士でコソコソと小声で話し合う。
「ふうぁぁあ」
そんな重要な事なんぞ興味無いとばかりに、洋一は気怠く欠伸をし、チラッと横目で恵分を見た。
恵分が自信満々でニンマリと笑って、スーツの男に視線を送っている。
「さてと、生徒の皆。まずは、俺のすぐ隣に立っているスーツ姿の彼に注目しとけ」
郡上がスーツの男を指差し、此処にいる生徒達の視線が、一気に彼へと集中する。
「……はい?あのう。郡上さん?」
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