動き出す『者』と、“浮上[あ]”がり出した『モノ』-2

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  「「「キャアーーーッ!!!!」」」 「「「郡上さぁーーん!!」」」  一斉に湧き上がる、女子生徒達の黄色い歓声。 「あーー。この声、マジ無いわww」 「(うっっわ。俺だったら絶対堪えられねぇよ、コレ……)」  そんな女子生徒達が歓喜で騒ぐ室内、恵分が、上から彼女達を見渡しながら軽く嘲笑い、隣にいた洋一は、テンションが下がったままスクリーンを見た。  教壇から遠くの席に座っている人でも見えるように、教壇に立つ郡上を映し出している。 「(あの人が郡上さん、か……)」  洋一が気怠くスクリーンを見つめている中、郡上は歓迎する生徒達をゆっくりと見渡して、とても満足げに微笑むと、手にしていたマイクを教壇のスタンドに差し込み、声を出した。 「生徒の皆、こんにちは!取り敢えず、周りの講義室では講習が始まっているから、ひとまず落ち着いてくれ。  何時まで経っても、皆に重要な事を伝えられないぞー」 「重要な事?」 「えー?なんだろー?」  先程までの喧騒が半ば静まり、生徒達が不思議そうに疑問を浮かべ、隣同士でコソコソと小声で話し合う。 「ふうぁぁあ」  そんな重要な事なんぞ興味無いとばかりに、洋一は気怠く欠伸をし、チラッと横目で恵分を見た。  恵分が自信満々でニンマリと笑って、スーツの男に視線を送っている。 「さてと、生徒の皆。まずは、俺のすぐ隣に立っているスーツ姿の彼に注目しとけ」  郡上がスーツの男を指差し、此処にいる生徒達の視線が、一気に彼へと集中する。 「……はい?あのう。郡上さん?」  
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