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「あー、それ考えたらめんどくせぇなぁー……」
脱いだ服を畳んで籠に入れる相模の台詞に、洋一は、面倒臭そうに詰め替えてあるボディーソープを掴んで、浴室のドアを開けて中に入ろうとした。
その時、
ざわっ……!
「ッ!?」
一瞬、背後から肌が粟立つ程に感じた、全身を舐め回すような厭らしい視線。
洋一は、脂汗を一筋流し後方を振り返ると、相模もそれを感じたのか、背中の醜い傷痕を覆い隠すようにバスタオルを羽織り、ジッと周囲を警戒して身構えていた。
洋一と相模以外は誰も居ない脱衣所。
洋一がそろりと浴室へ入る中、相模は、警戒しながらそっと脱衣所の引き戸に手を掛け、ゆっくり開けた。
ガラッ
「あらま」
開けた瞬間、その前に立っていた森泉の目と、相模の警戒する目が合った。
「ふぎゃあァァァアッ!!!!」
《守政の二度蹴り!》
ドゴオォォオンッ!!
《効果は抜群だ!》
「ぐふぅアッ?!」
相模が猫のような悲鳴を上げたと同時に、彼の鋭い連続蹴りが、森泉の腹部に向けて炸裂した。
バタァンッ!!
「痛ッ!」
勢いよく森泉が壁へと吹き飛ばされ、相模は、腹と背中からくる痛みのダブルパンチに悶える彼の前で仁王立ちし、ギロリと睨み付けた。
「覗いてんじゃねぇよ、この変態野郎!マジ消えろ!タヒれッ!」
そして、相模は彼に向かって怒鳴り付けると、脱衣所の引き戸を閉めて浴室へと入った。
バタンッ!
『ちょっと、守政待ってよ!コレは誤解なんだってばぁあ!』
「何があったんだよ?」
「森泉さんが覗き見してた」
「え゛?!マジかよ。
つか、お前さ、たかが同性に裸見られたくらいで悲鳴上げんなよ。女みてぇ」
「煩エ!黙れ、こンにゃろうッ!」
先に湯船に浸かって冷めた眼差しで言う洋一の隣に、相模は顔を真っ赤にして怒鳴って入ると、鋭く睨み付けながら洋一の頬を摘み上げた。
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